今回は、五十肩(肩関節疾患)以外の疾患との鑑別についてお話します。
肩周囲に起きる症状は肩の疾患だけではありません。
例えば、・頸椎由来の疾患
・心臓や肺など、内臓由来の疾患でも痛みを訴えられることもあります。
肩関節疾患と内臓疾患との鑑別でまず重要な項目は疼痛です。
肩関節自体に原因がある場合の多くは、指一本または手掌で疼痛部位を示すことができます。
これを、finger sign または palm sign といい、特に関節運動に伴い疼痛の変化をきたします。
これに対し、内臓疾患由来などの問題で疼痛が生じる場合の多くは疼痛部位を限局できず、広範囲にわたっての疼痛を訴えます。
また、頸椎由来の疼痛は、神経の走行に沿った疼痛や頸椎の運動に伴う運動の増減、さらにはその神経支配領域に
準じた知覚や運動障害が認められるため、比較的鑑別されやすいです。
心臓疾患の場合は、左肩や心窩部、背部などに鈍痛をきたすことが多いです。
肺は、肩関節よりも※頸三角部に疼痛を訴えることが多くあります。
これらの内臓疾患由来の疼痛の多くは、肩関節運動に準じた疼痛の変化は比較的少なく、むしろ体位の変化によって
疼痛の変化が認められます。